CineStill CS41パウダーキットで自宅現像する
CineStill CS41パウダーキットでカラーフィルムを自宅現像する
CineStill CS41パウダーキットは、初心者にとくに扱いやすいC-41キットの1つです。2浴式で、漂白と定着を漂白定着液(Blix、ブリックス)という1つの工程にまとめているため、従来のC-41キットより浴の数が少なく、全体の処理時間も短くなります。このガイドでは、調合から乾燥までの全工程を順に説明します。
始める前に
カラーフィルムを自宅で現像したことがない方にとって、CineStill CS41パウダーキットは始めやすいキットです。2浴式なので、従来の4浴式のC-41プロセスより工程が少なく、粉末タイプなので、調合するまではコンパクトで保管しやすくなっています。
CineStillは、ニューヨーク州ロチェスターに拠点を置くアメリカの会社で、映画用フィルムをスチル写真家にも使いやすくしたことで、フィルム写真の世界でよく知られています。CS41キットは、その親しみやすい姿勢を自宅での現像にも持ち込んだものです。C-41に対応するカラーネガフィルムなら何でも現像でき、発色現像型(クロモジェニック)のモノクロフィルムも処理できます。
工程は、大きく2つの薬品の段階で進みます。まず現像液が、フィルムの露光された銀と反応して、目に見える像を作ります。次に漂白定着液(漂白と定着を兼ねた液)が、残った銀を1つの浴で変化させて取り除き、安定した永続的なネガに仕上げます。最終リンスは任意ですが、色素層を保護し、きれいに乾かすために行うことをおすすめします。
AGO Film Processorをお持ちなら、工程を通して薬品の液温を測り、それに合わせて現像時間を補正するので、温度が少しずれても仕上がりは正確なままです。
準備するもの
薬品を調合する前に、このリストのものをすべてそろえてください。手の届く場所にそろえておくと、作業がぐっと楽になります。
- CineStill CS41パウダーキット(Color Developer=発色現像液のパケット、Blix=漂白定着液のA液・B液のパケット)
- フィルム現像タンクとリール(Patersonなど)
- 計量カップと調合用のボトル(薬品を光から守るため、できれば茶色のもの)
- 正確な温度計(39°C/102°Fの確認用)
- タイマーまたはストップウォッチ
- 保護手袋、保護メガネ、保護衣
- はさみ
- フィルムの装填に使う、光を通さないダークバッグ(または暗室)
- 乾燥用のフィルムクリップ
任意ですが、強くおすすめします。AGO Film Processorは薬品の液温を測り、それに合わせて現像時間を補正するので、温度が少しずれても仕上がりは正確なままです。
CineStill CS41パウダーキットについて
このパウダーキットに入っている薬品は2種類で、1パケットのColor Developer(発色現像液)と、2パケット(A液とB液)のBlix(漂白定着液)です。安定液は含まれていません。最終リンスは任意で、希望する場合は、蒸留水に少量のヘキサミンまたはPhoto-floを加えて行えます。1回あたりの処理能力は、調合する使用液の量によって変わります。
キットの処理能力(使用液1000ml):36枚撮りの35mmフィルムは最大8本・120(ブローニー)は最大8本・4×5インチは最大32枚・8×10インチは最大8枚。
再利用について:現像液は、消耗を補うために現像時間を延ばすことで、複数のセッションにわたって再利用できます(詳しくは「うまく仕上げるコツ」を参照)。漂白定着液は、再利用しても時間の調整は不要です。AGO Film Processorを使う場合、回転攪拌は手での倒立攪拌より薬品の使用量が少なくて済むため、実際の処理能力が上記の標準の目安を超えることがあります。
薬品の調合
薬品は1種類ずつ、ラベルをはっきり貼った清潔な容器で別々に調合します。現像液に漂白定着液が数滴混ざるだけでも、フィルム1バッチ分がだめになることがあります。攪拌棒は薬品ごとに別のものを使い、容器の間で使い回さないでください。
1. Color Developer(発色現像液、1パケット)
- 38°C(100°F)の水600〜700mlを、清潔な容器に入れます
- かき混ぜながら、Color Developerのパケットの中身をすべて加えます
- 完全に溶けるまで、よくかき混ぜます
- 38°Cの水を足して、全量を1000mlにします
調合後の保存期間:ボトルを満タンにして、しっかり蓋をした場合で2〜6週間です。
2. Blix(漂白定着液、A液とB液の2パケット)
- 38°C(100°F)の水600〜700mlを、清潔な容器に入れます
- かき混ぜながらA液を加え、完全に溶けるまでよくかき混ぜます
- 溶液を1000mlの保存ボトルに注ぎます
- B液を加えます。A液とB液を合わせると、吸熱反応(温度が下がる反応)が起こります。反応が終わって溶液が落ち着くまで、約5分待ちます
- ピッチャーとボトルの間で溶液を何度か行き来させて、よく混ぜます
- 水を足して、全量を1000mlにします
調合後の保存期間:ボトルを満タンにして、しっかり蓋をした場合で8〜12週間です。
3. 安定液/最終リンス(任意)
パウダーキットには安定液は含まれていません。最近のカラーフィルムは乳剤に安定剤を含んでいて、2浴式の処理の中で自然に放出されるため、別の安定液は必須ではありません。使いたい場合は、蒸留水にヘキサミン(防カビ剤)とPhoto-flo(界面活性剤)のどちらか、または両方を加えた最終リンスが適しています。20年以上前のフィルムには、ホルマリンまたはホルムアルデヒド系の安定剤(保存剤)が必要になることがあります。
保管のコツ:調合した薬品はすべて、清潔な密閉ボトルに口元まで満たして入れ、空気に触れる量を減らします。現像液と漂白定着液を取り違えるとフィルムがだめになるため、各ボトルにはっきりラベルを貼ってください。涼しく暗い場所で保管します。
フィルムの装填
この作業は、完全な暗闇で行います。光を通さないダークバッグか暗室を使ってください。フィルムのパトローネを開けて先端を切り落とし、フィルムを現像リールに巻き込みます。リールをタンクに入れてしっかり密閉してから、明かりをつけてください。タンクを密閉すれば、以降のすべての工程は通常の室内灯のもとで行えます。
現像の手順
以下の時間は、AGO Film Processorで使う場合のものです。手作業で現像する場合は、工程のまとめの表で標準の時間を確認してください。
工程1 予洗い:現像液と同じ温度、1分 任意
現像液と同じ温度の水で短く予洗いすると、薬品を入れる前にフィルムとタンクが適温になり、使い始めに液温が下がって結果に影響するリスクを減らせます。この工程では攪拌は不要です。
AGO Film Processorをお使いの場合:予洗いを省くなら、冷えたタンクが薬品の入った直後に熱を奪う分を見込んで、現像液を目標温度より2〜4°C高い温度から始めてください。AGOが実際の液温を追って、時間を補正します。
工程2 現像液:39°C(102°F)、3分30秒
いちばん重要な工程です。現像液が、フィルムの露光された銀と反応して、目に見える像を作ります。ここでは温度の正確さがとても大切で、わずかなずれでも色と濃度に影響します。AGO Film Processorは液温を測り、それに合わせて時間を補正します。
攪拌(手作業):最初の10秒は連続して攪拌し、その後は30秒ごとに4回倒立攪拌します。
工程3 漂白定着液:24〜40°C(75〜105°F)、8分
漂白定着液は、漂白と定着の2つの工程を1つの浴にまとめたものです。現像で生じた金属銀を変化させて取り除き、安定した色素の像だけを残します。この工程のあとはフィルムが感光しなくなり、タンクの蓋を外せます。攪拌は現像液の工程と同じです。
攪拌(手作業):最初の10秒は連続して攪拌し、その後は30秒ごとに4回倒立攪拌します。
工程4 水洗:24〜40°C(75〜105°F)、3分
流水ですすぐか、タンクに水を満たして攪拌し、空にします。水洗の時間が終わるまで繰り返します。データシートでは、タンクに水を入れて空にする作業を7回行うよう勧めています。最終リンスの前に、フィルムから漂白定着液の残りを洗い流します。
工程5 安定液/最終リンス:室温、30秒〜1分 任意
蒸留水にヘキサミンまたはPhoto-floを加えた最終リンスは、色素層を保護し、乾燥跡を減らす助けになります。最初の15秒だけ静かに攪拌し、その後は攪拌しません。最近のカラーフィルムは、2浴式の処理の中で放出される安定剤を乳剤に含んでいるため、この工程は任意です。
⚠ 最終リンスの後は、フィルムを水ですすがないでください
フィルムの乾燥
最終リンスが終わったら、フィルムをリールから慎重に外し、乾燥用のフィルムクリップで、清潔でほこりのない場所に吊るします。上端のクリップで吊るし、下端には重りつきのクリップを付けて、カールを防ぎます。カットやスキャンの前にしっかり乾かしてください。濡れたフィルムに触れると、元に戻せないキズや跡がつくことがあります。
工程のまとめ
全工程の早見表です。現像中に確認できるよう、このページをブックマークしておくと便利です。
| 工程 | 温度 | 時間(AGO) | 時間(手動) | 攪拌 |
|---|---|---|---|---|
| 予洗い(任意) | 現像液と同じ温度 | 1分 | 1分 | なし |
| 現像液 | 39°C/102°F | 3分30秒 | 3分30秒 | 最初の10秒は連続、その後は30秒ごとに倒立4回 |
| 漂白定着液 | 24〜40°C | 8分 | 8分 | 最初の10秒は連続、その後は30秒ごとに倒立4回 |
| 水洗 | 24〜40°C | 3分 | 3分 | 水を入れて空にする作業を7回 |
| 最終リンス(任意) | 室温 | 1分 | 30秒〜1分 | 最初の15秒だけ静かに、その後は攪拌しない |
注:この時点以降、フィルムは感光しなくなるため、タンクの蓋は漂白定着液の工程のあとで外せます。
うまく仕上げるコツ
- 温度がもっとも重要なのは、現像のときです。現像液は39°C(102°F)に保ってください。わずかなずれでも、色と濃度に影響します。攪拌が足りないと色が赤寄りに、攪拌が多すぎるとシアン寄りになります。
- AGO Film Processorは工程を通して液温を測り、時間を自動で補正するので、勘に頼る必要がなくなります。
- すべてを清潔に保ってください。現像液に漂白定着液が数滴混ざるだけで、現像液がだめになることがあります。薬品ごとに、ラベルをはっきり貼った別々の容器と攪拌棒を使ってください。
- 調合には、処理したい目標温度の水を使います。最初のセッションの前に温め直す時間が短くて済みます。
- 漂白定着液を調合するときは、A液とB液の吸熱反応が終わるまで5分間しっかり待ってから、水を足して全量にします。この反応の間、溶液ははっきり冷たく感じられます。
- 現像液を再利用する:現像液は、複数のセッションにわたって再利用できます。再利用するときは、使用済みの現像液と未使用の現像液を合わせて1000mlの使用液にし、それまでに処理したフィルム1本につき、現像時間を2%延ばします。たとえば、前回のセッションで4本現像した場合は、現像時間を8%延ばします。3.5分×1.08=3.78分です。注:増感現像では、現像液の再利用はおすすめしません。
- 漂白定着液を再利用する:現像液と違い、漂白定着液は再利用しても時間の調整は不要です。
- 薬品はすべて、口元まで満たした密閉ボトルで保管し、空気に触れる量を減らします。保管する前に、すべてにはっきりラベルを貼ってください。
増感現像
CS41パウダーキットは増感現像に対応しています。現像時間を延ばすことで、フィルムの定格感度より高いISOで撮影できます。暗い場面で役立ちます。ただし、ネガの品質はわずかに落ちるため、増感は必要なときだけにするのが基本です。
| 増感量 | ISO倍率 | 時間倍率 | 39°Cでの現像時間 |
|---|---|---|---|
| 標準 | 1倍 | 1.00倍 | 3分30秒 |
| +1段の増感 | ISO 2倍 | 1.30倍 | 約4分33秒 |
| +2段の増感 | ISO 4倍 | 1.75倍 | 約6分8秒 |
| +3段の増感 | ISO 8倍 | 2.50倍 | 約8分45秒 |
よくあるトラブルと対処法
| 症状 | 考えられる原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| ネガが薄い(淡い) | 現像液の温度が低い、露出アンダー、または現像液の消耗 | 温度を確認する、現像時間を延ばす、または現像液を交換する |
| パーフォレーション付近のネガがマゼンタ寄りに見える | 現像液の温度が高すぎる、または攪拌が強すぎる | 温度を下げ、決められた攪拌を正確に守る |
| ネガに黒い斑点が出る | 映画用フィルムのリムジェット層を、現像前に除去していなかった | 現像前に、完全な暗闇でリムジェット層を除去し、使い切りの薬品を使う |
| プリントがフラットで、コントラストが低い | 現像不足 | 現像時間を延ばす |
| ハイライトとシャドウのディテールが失われる | 現像のしすぎ | 現像時間を短くする |
最初の1本まで、あと少しです
CineStill CS41パウダーキットは、カラーフィルムの自宅現像を始めやすい方法の1つです。2浴式なので管理する工程が少なく、粉末タイプなので、調合するまで保管しやすいキットです。薬品の準備ができれば、現像そのものは最初から最後まで20分もかかりません。
調合は焦らず、すべてを清潔に保ち、温度の目安をよく守ってください。現像した最初の1本をタンクから取り出し、ネガを光にかざす瞬間は、そこまで取り組む価値のある、特別なひとときです。
工程のことや、AGO Film Processorを始めるうえでわからないことがあれば、お気軽にご連絡ください。最初の1本を無事に現像できるよう、喜んでお手伝いします。