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Flic Film ECN-2キットで自宅現像する

Flic FilmのECN-2キットで映画用フィルムを自宅現像する

ECN-2は、Kodak Vision3のような映画用カラーネガフィルムを現像するためのプロセスです。標準的なC-41より工程は多くなりますが、それに見合う仕上がりが得られます。粒状が細かく、色が美しく、映画らしい独特の雰囲気が出ます。このガイドでは、Flic FilmのECN-2 8本用キット(0.5リットル)と16本用キット(1リットル)の両方について、全工程を説明します。

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始める前に

Kodak Vision3などの映画用カラーフィルムで撮影したことがあれば、多くのラボで現像に割増料金がかかったり、そもそも受け付けてもらえなかったりすることに気づいたかもしれません。心強いことに、ECN-2は、適切なキットと少しの根気があれば、自宅で十分に行えます。

ECN-2と標準的なC-41の大きな違いは、リムジェット層です。映画用フィルムのベースには、黒いカーボンのハレーション防止層が塗られています。この層は、現像の過程で柔らかくして取り除く必要があります。取り除かないと、薬品が汚染され、ネガに黒い残留物が残ります。Flic FilmのECN-2キットでは、専用のプレバス工程で、現像を始める前にリムジェット層を柔らかくします。

Flic Filmはカナダのフィルム写真の会社で、専門的な薬品や映画用フィルムを、スチル写真家にも使いやすくしていることで知られています。ECN-2キットには、8本用キット(0.5リットル)と16本用キット(1リットル)の2サイズがあります。どちらも、プレバス、現像液、停止液、漂白液、定着液、安定液が入っています。薬品の多くは粉末の濃縮剤で、使う前に水に溶かします。1リットルキットの停止液は、液体の濃縮液です。

ECN-2では、プレバスから始まる6つの薬品の工程を順に進めます。それぞれに役割があり、温度の条件はC-41より厳密です。ほとんどの工程は41.1°C(106°F)で行います。標準的なC-41より高い温度なので、温度の管理がとくに重要です。

AGO Film Processorをお持ちなら、工程を通して薬品の液温を測り、現像時間を自動で補正するので、自宅でのECN-2がぐっと扱いやすくなります。


準備するもの

ECN-2は、リムジェット層を除去する工程があるため、C-41より必要な器具が増えます。始める前に、すべてそろえてください。

  • Flic Film ECN-2キット(プレバス、現像液、停止液、漂白液、定着液、安定液)。8本用(0.5リットル)と16本用(1リットル)の2サイズがあります
  • フィルム現像タンクとリール(Paterson、AP、またはJoboタイプ)
  • 薬品の保存容器6つ:8本用キットは500ml、16本用キットは1リットル
  • メスシリンダーまたは計量カップ
  • 正確な温度計(41.1°C/106°Fの確認に欠かせません)
  • 温度を安定させるための湯煎
  • 調合にはすべて蒸留水
  • リムジェット層をぬぐうためのマイクロファイバークロス
  • 保護手袋、保護メガネ、マスク
  • 乾燥用のフィルムクリップ
  • はさみと、装填用の光を通さないダークバッグ(または暗室)

任意ですが、強くおすすめします。AGO Film Processorは薬品の液温を測り、現像時間を自動で補正します。ECN-2は求められる温度が高いため、工程がかなり確実になります。


Flic Film ECN-2キットについて

キットは2サイズです。8本用キットは、各使用液を500ml作れ、最大8本を処理できます。16本用キットは、各使用液を1リットル作れ、最大16本を処理できます。薬品はすべて、処理能力に達するまで、複数のセッションにわたって再利用できます。使用液は、光と熱を避けて、室温で密閉ボトルに保管してください。

キットの処理能力:8本用キット:最大8本・16本用キット:最大16本。
停止液は、他の薬品より早く消耗します。8本用キットでは、8本分もちます。16本用キットのボトルには2バッチ分の濃縮液が入っています。最初に15mlを調合し、残りの15mlは、最初の分が8本で消耗したときに新しく調合するために取っておきます。


薬品の調合

薬品は1種類ずつ、ラベルをはっきり貼った清潔な容器で別々に調合します。調合にはすべて蒸留水を使います。以下の量は、2つのキットサイズの両方について示しています。現像液は、完全に溶かすために他の薬品より高い温度で調合する必要があるため、始める前に各手順をよく読んでください。

1. プレバス

粉末を38°C(100°F)の水に溶かし、完全に溶けるまでかき混ぜてから、蒸留水を足して所定の量にします。
8本用キット:水400ml、足して500mlにします。16本用キット:水800ml、足して1リットルにします。

2. 現像液

粉末を45°C(113°F)の水に溶かします。現像液の粉末を完全に溶かすには、この高い温度が必要です。しっかりかき混ぜてから、足して所定の量にします。
8本用キット:水400ml、足して500mlにします。16本用キット:水800ml、足して1リットルにします。

3. 停止液

停止液は液体の濃縮液です。水に加え、足して所定の量にします。
8本用キット:パケットの中身をすべて水に加え、足して500mlにします。16本用キット:濃縮液15mlを水800mlに加え、足して1リットルにします。16本用キットのボトルには合計30ml入っているため、残りの15mlは、8本処理したあとに新しく調合するために取っておきます。

4. 漂白液

粉末を38°C(100°F)の水に溶かし、完全に溶けるまでかき混ぜてから、足して所定の量にします。
8本用キット:水400ml、足して500mlにします。16本用キット:水800ml、足して1リットルにします。

5. 定着液

室温の蒸留水を定着液に加えて、使用液にします。
8本用キット:足して500mlにします。16本用キット:足して1リットルにします。

6. 安定液

安定液を室温の蒸留水に加え、静かにかき混ぜます。
8本用キット:水500mlに加えます。16本用キット:水1リットルに加えます。

保管のコツ:すべてのボトルに栓をして、光と熱を避け、室温で保管します。保管する前に、すべてのボトルにはっきりラベルを貼ってください。


温度の目安

ECN-2は、C-41より高い温度で行います。温度を正しく合わせることは、安定した結果を得るための、もっとも重要な要素の1つです。

薬品 温度
プレバス 27°C/80°F
現像液 41.1°C/106°F
停止液 41.1°C/106°F
漂白液 41.1°C/106°F
定着液 41.1°C/106°F
安定液 室温

現像の手順

以下の時間は、AGO Film Processorで使う場合のものです。手作業で現像する場合は、工程のまとめの表を参照してください。タンクのサイズ別のAGOの薬品量については、最小薬品量の一覧表を参照してください。

工程1 プレバス:27°C、10秒

プレバスは、リムジェット層(カーボン層)を柔らかくして、定着のあとに取り除けるようにします。タンクを満杯にし、側面を軽くたたいて気泡を抜き、10秒浸します。プレバスは元の容器に戻し、そのあと、毎回水を勢いよく入れ替えながら、タンクを3回すすぎます。

攪拌:浸している間はなし。3回のすすぎでは、毎回勢いよく振ります。

工程2 水洗:3分(AGO)/2分(手動)

水ですすいで、現像を始める前にプレバスの残りを洗い流します。水を十分に入れ替えてください。

工程3 現像液:41.1°C、3分

いちばん重要な工程です。現像液が、フィルムの露光された銀と反応して、目に見える像を作ります。ECN-2はC-41より高温で行うため、ここでは温度の正確さがとくに重要です。AGO Film Processorは液温を測り、それに合わせて時間を補正します。

攪拌(手作業):最初の10秒は連続して攪拌し、その後は30秒ごとに4回倒立攪拌します。合計3分間続けます。

工程4 停止液:41.1°C、30秒

停止液は現像をすぐに止め、現像のしすぎを防ぐとともに、現像液が漂白液に混ざるのを防ぎます。停止液を入れ、1回倒立攪拌して、30秒そのまま置きます。

攪拌:倒立攪拌は1回だけで、その後は攪拌しません。

工程5 水洗:30秒

水ですすぎ、水を3回入れ替えて、漂白の前に停止液の残りを洗い流します。

工程6 漂白液:41.1°C、3分

漂白液は、現像で生じた金属銀を、定着液で取り除ける形に変えます。この工程を省くと、ネガがとても濃く仕上がります。

攪拌(手作業):最初の10秒は連続して攪拌し、その後は30秒ごとに4回倒立攪拌します。合計3分間続けます。そのあと、水を3回入れ替えます。

工程7 水洗:1分

水ですすぎ、水を3回入れ替えて、定着の前に漂白液の残りを洗い流します。

工程8 定着液:41.1°C、2分

定着液は、フィルムに残った感光性の銀をすべて取り除き、像を安定した永続的なものにします。この工程のあとは、フィルムが感光しなくなります。

攪拌(手作業):最初の10秒は連続して攪拌し、その後は30秒ごとに4回倒立攪拌します。合計2分間続けます。そのあと、5分間の流水で洗います。

工程9 リムジェット層の除去

フィルムをリールから外します。リムジェット層はプレバスで柔らかくなっているので、簡単にぬぐい取れるはずです。濡らしたマイクロファイバークロスで、フィルムのベース面(乳剤のない、つやのない面)を軽くぬぐい、残ったカーボン層を取り除きます。一方向に、やさしく動かしてください。

⚠ 乳剤面は絶対にこすらないでください。ベース面のキズはスキャンに写ることがあります。

工程10 水洗:5分

安定液に入れる前に、流水でしっかり最後の水洗を行い、フィルムから定着液の残りをすべて洗い流します。

工程11 安定液:室温、1分

フィルムを室温の安定液に1分間浸します。乳剤面に気泡ができるのを防ぐため、強い攪拌は避けてください。


フィルムの乾燥

フィルムクリップを使って、清潔でほこりのない場所にフィルムを吊るします。下端には重りつきのクリップを付けて、カールを防ぎます。カットやスキャンの前にしっかり乾かしてください。濡れたフィルムに触れると、元に戻せないキズや跡がつくことがあります。現像したてのフィルムからできるだけよい結果を得るために、スキャンはほこりのない環境で行ってください。


工程のまとめ

全工程の早見表です。現像中に確認できるよう、このページをブックマークしておくと便利です。

工程 温度 時間(AGO) 時間(手動) 攪拌
プレバス 27°C 10秒 10秒 なし。勢いよくすすぐ(3回)
水洗 指定なし 2分 水を3回入れ替え 水を入れ替える
現像液 41.1°C 3分 3分 最初の10秒は連続、その後は30秒ごとに倒立4回
停止液 41.1°C 30秒 30秒 倒立は1回だけ、その後は静置
水洗 指定なし 30秒 水を3回入れ替え 水を入れ替える
漂白液 41.1°C 3分 3分 最初の10秒は連続、その後は30秒ごとに倒立4回
水洗 指定なし 1分 水を3回入れ替え 水を入れ替える
定着液 41.1°C 2分 2分 最初の10秒は連続、その後は30秒ごとに倒立4回
水洗 指定なし 5分 5分 流水
リムジェット層の除去 指定なし - - 濡らした布で、ベース面だけをぬぐう
安定液 室温 - 1分 やさしく(気泡を避ける)

うまく仕上げるコツ

  • ECN-2では、温度の管理がもっとも重要な要素です。1〜2°Cのずれでも、カラーバランスに影響することがあります。信頼できる温度計を使い、工程の合間は薬品を湯煎に入れておいてください。
  • AGO Film Processorは工程を通して液温を測り、時間を自動で補正するので、自宅でのECN-2がずっと確実になります。
  • リムジェット層を取り除くときは、やさしく、ベース面だけを扱ってください。乳剤面は濡れていると傷みやすく、キズはスキャンに写ります。
  • Kodak Vision3フィルムでは、C-41でクロスプロセスするよりも、ECN-2のほうが色がクリアで正確になり、粒状も細かくなります。手間が増えるだけの価値があります。
  • 現像の間じゅう、倒立攪拌は一定のリズムで行ってください。攪拌にムラがあると、コマの中で現像ムラが出ます。
  • 停止液は、最初に消耗する薬品です。どちらのキットサイズでも、約8本分もちます。16本用キットの停止液のボトルには、2バッチ分の濃縮液が入っています。最初に15mlを調合し、残りの15mlは、最初の分が消耗したときに新しく調合するために取っておきます。
  • ネガは、ほこりのない環境でスキャンしてください。映画用フィルムのネガは、丁寧にスキャンするほど応えてくれます。ほこりやリムジェット層の残りは、高解像度ではっきり写ります。

手間に見合う仕上がり

ECN-2はC-41より手間のかかるプロセスですが、自宅で現像する人の手が届かないものではありません。何度か行って温度の段取りが固まれば、やりがいがあり、繰り返し再現できる作業になります。Kodak Vision3を正しいECN-2の薬品で現像したネガは、本当に美しい仕上がりです。粒状が細かく、色が豊かで、映画らしい個性があります。

Flic Filmのキットには、必要なものが、きちんとパッケージされ、わかりやすい資料とともにそろっています。手順に従い、温度を守り、リムジェット層の除去を丁寧に行えば、プロ品質の映画用ネガを自宅で手に入れられます。

ECN-2のことや、AGO Film Processorを始めるうえでわからないことがあれば、お気軽にご連絡ください。いつでも喜んでお手伝いします。

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